卵生メダカ種類別飼育法
・はじめに
皆さんが卵生メダカと聞いて思い浮かべるのは、いったいどういうイメージでしょうか?「水質に敏感で気難しくて、飼うのが難しそう。」や「寿命が短く、すぐに死んでしまう。」あるいは「卵を乾燥させたり、なんだかめんどくさそう。」といった所でしょうか。しかし、それらの多くは誤った情報や先入観によって与えられた間違ったイメージです。ここではそういった悪いイメージを払拭する為、正しい知識と飼育法を紹介していこうと思います。
・飼育法
卵生メダカは水質に敏感そうだと思っているのか、ときどき「PHはどれくらいがいいの?」とか「硬度はどれくらい?」等と聞かれる方がいますが、実際は極端に片寄った水質でなければどんな水でも飼育できます。ただし、水質に鈍感というわけでもなく、水質が急変すると、とたんに調子を崩します。数値にこだわるのではなく、水質の変化をいかにして防ぐかが重要です。
卵生メダカを飼育するにあたり必要なものは水槽、フィルター、ピートモス、ヒーターに、病気予防と治療の為の塩と飛び出し防止の為の浮き草ぐらいのもので、特別な飼育器具や広いスペースがいるわけでもなく、誰でも気軽に始められます。
必要なもの
水槽 | ほとんどの卵生メダカは成魚でも数cmにしかならない為、1Pr飼育の場合30cm水槽で十分です。一部の大型になるものや、良く泳ぐ種類ではそれに合わせて大きめの水槽を用意してください。また、繁殖目的の水槽では、管理や採卵のしやすさから、通常底砂は敷きません。 卵生メダカは良く飛び出すので、必ずぴったりなフタも用意してください。 |
フィルター | 卵生メダカは強い水流を嫌う為、スポンジフィルターが最も適しています。古い飼育書などを見ると「水流が嫌いだからフィルターは必要ない」と書かれていることもありますが、実際はスポンジフィルターで起こる水流程度ではまったく問題はありません。水質の急変、悪化を防ぐ為にも是非とも使用してください。(もし、流れがきつくて魚が泳ぎ疲れているようなら、間に一口コック取り付けてエアーを弱めてください。) 投げ込み式フィルターも使用は可能ですが、採卵やメンテナンスのしやすさから、スポンジフィルターの方が適しています。 |
ピートモス | 産卵床として必要です。年魚はピートモスを入れておくとそこに産卵します。非年魚の場合も産卵することがある他、孵化した稚魚の隠れ家にもなります。 水質調整用に粒状や粉状のものが販売されてますが、採卵のしやすさなどから長毛種と呼ばれる繊維状のものを使用してください。(園芸用のものの中には成分調整されているものがあります、そういったものは絶対使用しないで下さい!) |
ヒーター | 特に、適温が20〜28℃のノソブランキウスを飼育する時に必要です。 旧シノレビアスやアフィオセミオンは低温を好むので必要ないこともあります。ただし、あまりにも温度が低くなったり、温度が急変するような環境では必要となります。(その場合温度を調節できるものを選ぶこと。) |
塩 | 病気予防の為、飼育水が常に0,1%塩水になるように、必ず入れてください。ただし、食卓塩ではなく人工海水の素や天然塩を使用して下さい。病気が発生した場合は塩分濃度を0,5%に上げます。 |
餌 |
一部の入門種を除き、人工餌料には餌付きにくいです。稚魚や小型種にはブラインシュリンプ、成魚には冷凍アカムシを与えていれば、問題なく飼育繁殖が可能です。もし、入手が可能であれば、生きたアカムシやミジンコを与えてください。喜んで食べます。ただし、イトメは太りすぎの原因になるほか、病気を持ち込む可能性があるため、通常は与えません。 |
あると便利なもの
浮き草 | 必ず必要というわけではないですが、水質浄化や魚を落ち着かせるために、あると便利です。 特にアフィオセミオンやリヴルスの仲間は良く飛び出すので、入れておくと飛び出し防止に役に立つほか、長い根が産卵床にもなるのでおすすめです。 |
プラケース | 孵化したての稚魚や弱った魚、大きさが合わなくなった魚を、一時的に隔離する時などに使います。 卵生メダカの多くは運動量が少なく、酸素消費量も少ないので、浮き草を浮かべて軽くエアレーションをしておけば1週間位なら問題なく維持できます。 |
レッドラムズホーン | 30cm水槽の場合2〜3個入れておくと、残餌処理やコケ予防に役立ちます。また、卵生メダカを入れる前にパイロットフィッシュ(スネイル?)として利用することも出来ます。 |
種水用水槽 | 水換えをするときに使う水を、ただ塩素を中和した水を使うのではなく、水槽で濾過やエアレーションした水を使うと、水換えの時に魚の調子を崩すことが少なくなります。余裕があれば用意してください。 もし、状態良く水草が育っている、魚の少ない水槽があるならば、その水を使ってください。 |
卵生メダカの飼育にどんなものが必要か解かっていただけたところで、ここでは繁殖方法でいくつかのグループに分けて、グループごとの具体的な飼育、繁殖方法を解説しようと思います。
年魚
|
非年魚
|
以上で卵生メダカの飼育解説を終わりますが、ここで紹介したのは基本的な飼い方をだけなので、ここから自分独自の飼育方を確立してみても良いでしょう。また、卵生メダカは水草水槽で群泳させると、その美しさの真価を発揮します。そんな贅沢ができるのも、卵生メダカを自家繁殖させた人の特権と言えるでしょう。
これをきっかけに、1人でも多くの方に卵生メダカを飼育してもらい、その美しい姿や特徴的な生態と間近で接し、楽しんでいただけたら幸いです。
トップページへ メインページへ 卵生メダカトップへ